Column

「「マーケティング(学)」を学ぶこととは」インタビュー

インタビュー協力

ルシル・カーティス教授(右)
ジェームス・パースロー―ウィリアムズ講師(左)

(イーストアングリア大学ビジネススクール)

目次

インタビュー

マーケティングが学べる大学と専攻

UPAA: 自己紹介をお願いします。

ルシル: みなさん、こんにちは。私はUEAノリッジ・ビジネス・スクール(NBS)のマーケティング教授ルシルです。本職はマーケティングの教授ですが、入学選考、マーケティング、求人のディレクターであり、学士課程プログラムのディレクターでもあります。 私は以前、マーケティング・マネジメント学士号コースのディレクターを4年間務めました。この間、私はこのコースのBSc(理学士)からBA(文学士)への変更に携わりました。それは、当校の学生たちが幅広いエキサイティングな就職のチャンスを選択するために必要な、創造的、分析的、革新的な資質を重要視するためです。 私がマーケティングを教えているのは、マーケティングが大好きだからです。私はマーケティングの分野で25年以上にわたって国際的なキャリアを積んできましたが、まだ成し遂げたいことがたくさんあります!これまで私は、製薬・ヘルスケア部門、地方自治体で、そしてマーケティング・コンサルタントとして、戦略的マーケティングの上級職を経験し、リーダーシップ、PR、マーケティングにおける評価により数々の賞を受賞してきました。

ジェームズ:みなさん、こんにちは。ジェームズ・パースロー・ウィリアムズです。マーケティング&マネジメント学士コースのコース・ディレクターであり、ノリッチ・ビジネス・スクールでマーケティングの講師を務めています。
カーティス先生と同じように、私がマーケティングという専門分野で教えているのは、ただマーケティングが好きだという理由からです。そして、マーケティングはほとんどのビジネスにとって不可欠なものであり、正しく行われれば、その成功に大きな影響を与えることができるということが大好きだからです。私のマーケティングの経験は、しばらく自分の会社を経営していたことに始まります。ワイヤレス通信パッケージを新規顧客に販売したのですが、(当時は)新しい分野だったため、人々が体験するまでは必要なものだと知らなかったサービスをマーケティングするという貴重な経験をしました!



UPAA: マーケティングとは何か?学生が主に学ぶことは何ですか?

ルシル:マーケティングには理論と実践という2つの重要な要素があり、私たちはその両方のスキルを身につけるよう指導します。マーケティング・ミックス(製品、価格、場所、プロモーション)の特徴を考慮することによりマーケティング・コミュニケーション計画を実施するといった、ビジネス戦略に適合したマーケティング戦略を立てることの重要性についても、もちろん学びます。もちろん、重要なメッセージを伝えたり、顧客と直接話をしたりするための様々なマーケティング・チャンネルがあり、それはとてもエキサイティングなことですが、企業によっては難しいことでもあります。学生たちがマーケティング戦略、プランニング、コミュニケーション術について理解できるように、私たちは地元企業とともに、学生達独自のキャンペーンを開発する機会を提供するとともに、現在のウェブサイトやデジタル・マーケティングのツールやテクニックを批判分析する方法を学んで、売上を伸ばしたり新製品を売り出したりできるようにします。
 マーケティングが非常にエキサイティングなことのひとつは、常に変化しているということです。ここ数年、マーケティングが世界的なデジタル革命を経験していることは、驚くことではありません。今、学生たちが学ぶべき新しい様々なチャンネルがあります。ビジネス・スクールとして、私たちはマーケティングの教授法において、これらのトレンドに常に対応しています。

ジェームズ:私は少し変わった経歴の持ち主で、数年前に自分のビジネスを立ち上げ、マーケティングを担当するディレクターをしていました。今までほぼ14年教鞭をとっています。ですから、カーティス先生と私が一緒に教壇に立つと、私たちの豊富な経験が素晴らしいコンビネーションを生み出します。マーケティングの学位コースでは、マーケティング・コミュニケーション、戦略、ブランド・マネジメントやその他多くの必修モジュール(科目)があります。しかし、プロジェクト・マネジメント、グローバル・ビジネス、ビジネス倫理、人材管理、デジタル・ビジネスなど、より幅広い選択モジュールも用意されており、自分の興味に合わせてコースを調整することができます!また、学生が地元企業や国内企業とのネットワークを構築できるよう、キャンパス内外でさまざまなイベントを開催しています。昨晩も、マーケティングに焦点を当てたネットワークのイベントに参加したのですが、そこでは何人かの学生が一緒に参加し、経験豊富なマーケティング担当者と話をしました。勉強中にそのような直接的な体験をすることは、学生たちにとって人生を豊かにする経験でした。



UPAA: なぜ学生はマーケティングを学ぶべきなのでしょうか?

ルシル:マーケティングは、常に変化し続ける非常にエキサイティングな科目です。マーケティングのキャリアは決して退屈なものではありません。マーケティングを通じて売上を伸ばし、製品やサービスの販売を促進することは、これからも常に中心となる活動であり、卒業生は、当校で身につけたスキルと経験を活かして、将来の事業展開において重要な役割を果たすことになるでしょう。また、マーケティングは人々が考える以上に多様で、ソーシャルメディア管理やデジタル・チャネルを重視したブランディングから広告まで、あらゆる分野を扱います。データ分析もあり、もしあなたが数字的の素養を持ちデータが好きなら、マーケティング・リサーチやデータ管理といった魅力的なキャリアも可能です。

ジェームズ:どの企業や組織で働くにしても、そこにはマーケティングの要素があります。すべての組織は、顧客に自分たちのブランドを伝える方法を必要としており、学生にとっては、世界のどこに住もうが、どこにたどり着こうが、常に優れたマーケティングの需要があります。マーケティングこのように多様な分野であり、Googleが日々アルゴリズムを変えているように、常に遅れずについていく必要があります。最新のトレンドを知っている必要があり、人や社会の仕組みに興味があるなら、マーケティングは素晴らしい選択肢です。マーケティングで身につけたスキルはとても応用の利きくものです。マーケティングは素晴らしい科目で、私は教えるのが大好きです。



UPAA: 学生にはどのような特徴や資質を求めていますか?

ルシル:当校では、英語や数学の能力を含む標準の入学条件を設けていますが、幅広い履修科目を持つ学生を受け入れていますので、ビジネスを学んだ経験は必要ありません。私たちが本当に求めているのは、情熱のある学生です。もしあなたが、子供の頃の広告を今でも覚えている人、新しいロゴやブランドのスローガンに驚かされる人、顧客がなぜ他の商品よりもある商品を買うのかに興味がある人でしたら、入学願書を待っています。顧客、市場、文化、そしてそれらの変化する振る舞いに対する探究心を持つことは、スタート地点として最適です。

ジェームズ:マーケティングは常に変化し続ける分野のひとつですから、学ぶ意欲と学び続けることが必要です。新しいテクノロジーや新しいコミュニケーションの方法が生まれ続けます。ですから、柔軟性を持ち、学習を適応させることが重要です。コカ・コーラを例にとると、製品は100年以上の間、基本的に同じですが、マーケティングは変化し、時代に適応してきました。コカ・コーラのマーケティング部門の人々は、社会がどのように変化し、社会が何を求めているのか、どうすれば製品を世代を超えて消費者にとって魅力的で人気のあるものにできるのかを理解しています。
 私たちは、マーケティングに熱意があり、消費者行動に好奇心のある学生を求めています。この販促は誰にアピールしているのだろう?なぜこの商品をこのようなスタイルで宣伝しているのか?戦略は何なのか?スーパーマーケットを歩いているとき、こういったことを考えてもらいたい。成功するマーケターになるためには、ビジネスや消費者行動に関心を持つ必要があるのです。



UPAA: マーケティングを学ぶにあたって、よくある思い違いにはどのようなものがありますか?

ルシル:マーケティングに関する最も昔からある思い違いは、マーケティングは偏った解釈や嘘がすべてだというもので、これは全くそうではありません。製品やサービスを宣伝するには、マーケターとしてそれを本当に信じなければならないと私は信じています。宣伝しようとしている製品やサービスを純粋に愛しているか、少なくとも敬意をもっていなければいけません。マーケターとして、世の中に提供するものを伝えるとき、あなたは組織の中で倫理的あるいは道徳的な羅針盤となることを期待されています。マーケティングとは嘘をつくことではなく、伝えようとするメリットや特徴を選ぶことなのです。
 もう一つ、本当に重要な思い違いは、マーケティング担当者は皆、本当に声が大きく、意見を曲げず、自信過剰だということです。内向的な性格を自認する者として、100%言えることは、社交的になるために頑張らなければならない日もあるということです。私は、少ない数の人と一緒にいて、静かに製品の改良について書いたり読んだり、ブランド宣伝のための新しいスキルを学んだりしているときが、人生で一番幸せなのです。私は、自分がその部屋で一番うるさい人間だとは思っていません。もしあなたが社交的な場面でいつも自信があるわけではないと思っていても、それは全く問題ありません。マーケティングの仕事には、様々なスキルや専門性が求められます。様々な個性や補完的スキルを持つチーム内で効果的に働くことが最も重要です。同僚、顧客、利害関係者に耳を傾けることも成功への鍵です。

ジェームズ:もっと新しい思い違いは、今ではマーケティングはオンラインとソーシャルメディアだけの活動だというものです。確かにオンラインは重要ですが、オフラインツールや旧来のマーケティングツールがなくなったわけではありません!大企業がオンラインだけに力を入れるとしたら、それは愚かなことだとお伝えすることができればうれしいことです。もうひとつの思い違いは、すぐに結果を求めるということです。NBSはロータス車と強いつながりがあり、彼らの顧客はほとんどが40歳以上です。しかし、ロータスは、視聴者のほとんどが25歳未満であるTikTokで成功を収めています。彼らは何故これをしているのでしょう?長期的なブランド認知は、短期的なマーケティングキャンペーンと同じくらい重要だからです。運が良くてキャンペーンがすぐに広まることもあります。しかし、通常、マーケティングは長期的なものであり、それを理解するためのそういったツールを私たちは教えているのです。



UPAA: マーケティングの学生はどのような施設を利用できますか?

ルシル:マーケティングの学生は、当校で学ぶ間、様々な講義室、セミナールーム、ITラボで時間を過ごします。コースの特徴は双方向的であることで、さまざまな意見や視点を理解するために、様々なテクノロジーを使って多くの質問を投げかけます。このコースの一番良いところは、学生が自分で企業やキャンペーンを選んで取り組むことです。これには、市場調査や創造性、論理性だけでなく、現場から離れての調査や企業オーナーへのインタビューも含まれます。もちろん、学生は何年かでワード、エクセル、パワーポイントなどを含むマイクロソフト・オフィスを使いこなせるようになります。しかし、多くの学生は、リンクト・イン・ラーニング、グーグル・ガレージ、チャータード・インスティテュート・オブ・マーケティング(CIM)のウェビナーなどを通じて、就職に役立つスキルも身につけます。BAマーケティング・マネジメント・コースはCIMを通じた完全認定コースであるため、学生は様々な革新的なリソースに無料でアクセスすることができます。



UPAA: 学部での学生へはどんなサポートがありますか?

ジェームズ:NBSに入学すると、生徒一人ひとりにアカデミック・アドバイザーがつきます。私はアドバイザーの一人であり、ルシルも、学部のほとんどの教員と同じく、アドバイザーです。私たちは3年間を通して学生にアドバイスし、定期的に会ってさらなるサポートやガイダンスを提供します。マーケティングのアドバイスを特に受けに来た学生や、キャリア・アドバイスを受けに来た学生もいます。求職申し込みのサポートもします。また、UEAにはビジネス・スクールなどにあるものを含み、専用のキャリア・センター・チームがあり、学生一人ひとりの雇用適正を支援したり、大規模なキャリア・イベントやネットワーキングを企画したりしています。NBSは、より大きなUEAコミュニティの一部であり、すべての学生のために様々な専門的な福利・支援サービスを提供しています。



UPAA: マーケティング学位取得後の一般的なキャリア・パスにはどのようなものがありますか?

ルシル:私は、大企業や中小企業の両方でキャリアをスタートさせ、多くの成功を収めるよう、学生を指導、鼓舞する役割を担ってきました。広告、広報、ブランディング、ソーシャルメディア管理、あるいは現実世界の問題解決に役立つ専門分野の組み合わせに重点を置くコンサルタント会社から企業内コンサルタントまで、進路は実にさまざまです。当校の学生は、マーケティング・エグゼクティブ、PRスペシャリスト、イベント・マネージャー、ブランド・マネージャーなどとして、さまざまな分野に進出しています。
 以前の学生には、マースやグラクソ・スミス・クラインのような世界的な大企業ブランドのマーケティング・マネージャーになっている人がいます。また、ここノリッチやロンドン、海外のコンサルタント会社でエグゼクティブやアカウント・マネージャーとして働いている卒業生もいます。学生の中には、自分でコンサルタント会社を経営したり、フリーランスで働いたり、新しい事業を立ち上げて経営している者もいます。マーケティング・マネジメント学士コースの学生の多くは、ブランド・リーダーシップ修士課程に進学し、ブランディングのスキルと経験をさらに高めています。



UPAA: マーケティングを専攻した卒業生にとって、今後の就職先はどのようなものになると予想しますか?

ルシル:人工知能の影響や進歩はネガティブに捉えられがちです。「ターミネーター」や「ミッション・インポッシブル」といった映画を思い浮かべるだけで、そのことがわかるでしょう。しかし、AIはマーケターにとって新たなチャンネルやコミュニケーション・フォーラムを出現させ、これは今後数年にわたりさらに拡大するでしょう。個人的には、メタバースのようなコンセプトは本当にエキサイティングだと思うし、ChatGPTのようなパッケージは、市場調査に関してマーケターのさらなる武器になるでしょう。もちろん、新しいテクノロジーには課題やリスクもあり、アクセスの制約などもありますが、未来の卒業生たちは新たな発展がもたらす課題に対して十分に取り組むことができると確信しています。
 もうひとつの急成長分野は、持続可能なマーケティングです。企業が(温室効果ガスの)排出ゼロを目指すようになるにつれて、進捗状況をより多く共有する必要性が見込まれ、これはマーケターの優れたコミュニケーション・スキルがより一層役立つ場です。熱意あるマーケティング専攻の卒業生には、探求すべき新しい役割、テクノロジー、産業分野など、刺激的な新しい機会が常にたくさんあります。私は、当校の卒業生が成功し、社会に出て大きな影響を与えるのを見るのをいつも嬉しく思っています。それはマーケティングの分野においてエキサイティングな時間で、ここノリッチ・ビジネス・スクールでは、次世代の才能を育み、鼓舞していきたいと強く思っています。

ジェームズ:私もそう思います。これからの卒業生は、持続可能性やAIなどを気持ちよく受け入れる必要があります。当校で学べば、未来に適応するためのスキルを身につけることができます。あなたのキャリアにおいては、予測不可能な新しいテーマやトレンドが常にやって来ます。しかし、マーケティングの学位コースで学ぶスキルセットは、これに適応する能力を与えてくれ、未来への準備をさせてくれるのです。たとえ未来が何をもたらすか正確にはわからなくても。

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