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社会心理学 「社会注意への入門」

心理学とはどのような学問か?

心理学の根本は、人間の行動と精神のプロセスを科学的に研究することです。しかし、このシリーズでこれまで学んできた他のすべてのことと同じく、明確で単純な専攻などありません。そして、それは常にあなたのキャリアにとって良いことなのです。心理学者は、一般的に、個々の人間がどのように考え、感じ、行動するのか、また、ミクロとマクロの両レベルで環境や社会的状況からどのような影響を受けるのかを理解しようとします。こういった理解の追求は、スポーツ、医療、ビジネス、金融など、あらゆる分野において重要であることを、みなさん想像できると思います。


心理学をこのように理解することで、心理学は治療のためのものだとか、精神疾患を患う人々を治療する職業のために必要なものだ、というよくある誤解を解くことができます。個人がどのように行動し、なぜそのような判断を下すのか、そして環境や社会がそれらにどのような影響を与えるのかについての知識は、年齢や知的能力に関係なく、様々な分野や状況で必要なものです。心理学には標準的な下位分野がいくつかありますが、最もよく知られたものとして、通例、次のものがあげられます。


認知心理学:認知心理学は、より伝統的な研究に基づく学術的な心理学の部門であり、心を情報処理装置とみなし、科学的に研究します。認知心理学者は、知覚、注意、言語、記憶、思考、意識などの人の心の中で行われている情報処理の認知モデルを構築しようとします。人間はどのようにして情報を取得し、処理し、保存するのでしょうか。認知心理学は「知能の学問」と呼ばれることもあり、AIの普及が進む中でも特有の意味を持ちます。ですから、この分野の中で答えを見つけることができるのです。


産業心理学:産業心理学は、金融などの高い業績を基盤とする産業では歴史的に人気のある心理学ですが、近年のパンデミック以降、多くの分野で急発展している部門です。産業心理学、別名、組織心理学は、職場や訓練中の人々のパフォーマンスを研究し、組織がどのように機能するか、個人やグループが職場環境でどのように行動するかの理解を深めます。職場における生活の質を向上させ、ビジネスを全体的に効率化することが、産業心理学の目標です。


社会心理学: 簡単に言うと、社会心理学は、人間の行動に対する社会的影響を研究するものです。社会心理学は、科学的手法を用いて、私たちの感情や行動、思考が、現実の、想像上の、または暗示的な他の人々の存在によってどのように影響されるのかを理解し、説明します。社会心理学者は、社会行動を理解する上で重要な手がかりとなる、集団行動や社会的知覚、非言語行動、適合性、攻撃性、偏見、リーダーシップなどに目を向けます。


さらに、上に挙げた中心的分野を特定の関心に応じて専門化した、スポーツ心理学、法医心理学、発達心理学、進化心理学などのプログラムがあります。最後に、臨床心理学がありますが、これは原型的心理療法や患者治療を扱う心理学の部門であり、みなさんはこのコラムを読む前にすでにはっきりしたイメージをお持ちでしょう。


なぜ心理学を学ぶのか?

心理学を学ぶことで、カウンセリング、ソーシャルワーク、研究、大規模なビジネスなど、幅広いキャリアのチャンスが広がります。人間、個人を重要視すること、そして、スポーツから金融まで分野を問わず職場環境がその人の生産性をどのように促進できるかという考え方が世界的に普及しています。心理学の知識はそうした新しく刺激的なキャリアへの正しい道筋を示してくれるでしょう。また、心理学を学ぶことで、周りの人々を理解するだけでなく、自分自身や自分の行動、自分の決断に対するさらなる洞察力を得ることができます。心理学は、誰かが考えるような「常識」の学問ではなく、医学、言語学、社会学、国際ビジネスなど、多くの学問の交差点に位置している学問なのです。



心理学専攻の卒業生の雇用の展望は、日本国内外ではどうなっているのか?

心理学専攻の卒業生の就職状況は、国や地域によって異なります。例えば日本では、高齢化や精神的健康の問題の増加により、精神医療の専門家への需要が増しています。しかしながら、職への競争は激しく、多くの職種で学士号以上の学歴や資格が要求されます。


米国では、労働統計局(BLS)の報告によると、心理学者の雇用は2020年から2030年の間に3%増加すると予測されており、これは全職種の平均と同程度の伸びです。雇用のチャンスについては臨床心理学が最も競争力があるかもしれませんが、社会心理学と職業心理学の分野も成長が予測されています。英国では、心理学専攻の卒業生の就職状況は、どういったキャリアの道を選択するかによって異なります。臨床心理士のように比較的需要の多い職種もありますし、学術研究職などはさらに競争力のある職種かもしれません。オーストラリアでも、心理学専攻の卒業生の雇用への見通しはまちまちです。メンタルヘルスの専門家の需要は増加していますが、職への競争は激しく、多くの職種で学士号以上の学歴や資格が要求されます。


健康的な職場環境の必要性や、現代の社会的そして技術的な圧力が個々人に与える影響について、私たちがより深く知るにつれ、心理学者へのニーズは全世界的に高まり続けるでしょう。


心理学の分野によっては専門性が求められ、より高いレベルの教育が要求されます。これは通常、修士号レベルで得ることができます。しかし、学部レベルで専門を追求することができるプログラムは、日本でも外国でも数多くあるのです。



どこで学べるのか?

心理学は、世界中のほとんどの大学で学ぶことができる専攻です。しかし、学部レベルでは心理学全般を広義に学ぶことがほとんどです。もし、心理学の特定の分野を学びたいとしたら、通常、このようなプログラムは、大学院で学ぶことになりますから、進学先をよく検討すべきでしょう。海外では学部卒でも就職に有利な専攻の一つです。UPAA協定大学には世界のトップ100にランクインしている、非常に質の高いプログラムを揃えている大学が数多くあります。

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